2008年06月15日
MISSION3 潜入せよ

某国、某日。
私、伍長は密林の中にいた。
鬱蒼と生い茂る原生林は、侵入者を拒むようだ。
コンパスが無ければ、ものの5分で方向感覚が狂い、体力が尽きるまで彷徨うだろう。

『こちら伍長、潜入に成功した』
無線に答える者はいない。
確かに仲間と共に潜入したはずだ。しかし、無線からノイズが流れるだけである。
気付いたときは一人になっていた。
間隔を明けているとはいえ、はぐれる事などないのだが。

自分の居場所を知りたいが、なぜか地図を持っていない。
清流のせせらぎと野鳥の鳴き声がただただ繰り返され、異空間にいるような錯覚を憶える。


目の前の川を下れば、どこかに行き着くのだろうか。
川沿いはぬかるみ足場が悪い。川に入ったほうが足跡も残らないで移動できるだろう。
なにか嫌な予感だけが、私の頭の中で反響する。



そもそも作戦目的が思い出せない。
経路偵察なのか地域偵察なのか、目的だけがスッポリと消えたようだ。
冷く絡みつくような水の中に下半身を沈め、周りを警戒する。


森林が濃くなってきた。
今は足を止めず進み続けるしかない。



ひたすら歩み続る。20mごとに振り返り、後方確認を行う。
無意識に繰り返すその動作のお陰で、少し不安感が治まってきたようだ。


前方に建築物が見えてきた。
ゆっくりと近づいていく。ここに何かあるかもしれない。

・・・to be continued

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